あらすじ【第1幕】封建社会制度によって、人間の身分に上下の差別が厳しく定められていた、中世のドイツ。 アルブレヒトの愛の誓いに、ジゼルは不吉な夢を見たので、その誓いが真実かどうか、花に託して二人の恋を占う。「愛している」「いない」と、摘む花びらの 一ひら毎に、不吉な夢の不安が募ってジゼルは占いをやめて沈むが、アルブレヒトに慰められて無邪気な明るさを取戻す。そこへ、引き返してきたヒラリオンが 二人の語らいを見る。押さえきれぬ嫉妬にかられて思わずジゼルの前に立ちふさがる。ジゼルは、ヒラリオンの唐突な愛の告白を聞いて戸惑う。煩わしい私事に かかわるまいと、身を引いて事の始終を見守っていたアルブレヒトは、その場を見かねて、執拗にジゼルに迫る森番を遮る。ヒラリオンは甘くみくびっていた若 者の隙のない技にたじろいで、恨みを残して立ち去って行く。 気まずい思いの後、取り入れのぶどう畑で働いていた村の娘たちがジゼルを誘いに来るが、踊り 好きなジゼルに誘われて、〈ワルツ〉を踊って遊ぶ。 一方、ジゼルの母親は日頃から心臓の弱い娘の身を案じて、過激な運動や昂奮を避けるように気を配っていた。そして、踊り好きな娘に昔から語り継がれてきた 〈ウィリ〉の話を言い聞かせていました。〈ウィリ〉というのは、踊り子たちの幽霊伝説です。ウィリは結婚式をあげる前に死んだ花嫁達の霊魂が、墓の中で じっと眠っている事が出来ず、死せる心の中に、死せる足に、生前自分で十分満足させる事が出来なかった踊りの喜びが今なお生き続け、夜中に地上に上がって きて、群れをなして踊る。そして、でくわした若い男を捕らえ、踊りに誘い、休む暇もあらばこそ、踊りに踊りぬいて、若い男を取り殺してしまう。母親から、 「お前は心臓が弱いのだから、踊ってはいけない、踊っていると、今に死んでウィリになる」と言われて、母親思いのジゼルはアルブレヒトに心を残しながらも 素直に家に帰るのでした。村娘たちもぶどう畑に去って、一人残ったアルブレヒトは、領主の狩の角笛を聞いて、身を森の中に隠す。冷静を取戻したヒラリオン は、先程の事を詫びて、ジゼルに想いを今一度聞いてもらいたいと深刻な気持ちで引き返してくる。しかし、何か秘密が隠されているように思えてならない恋敵 の事が気がかりに思え、人影のないのを幸いに、アルブレヒトの小屋に忍び込む。領主とその娘バチルドの狩の一行が、休息の為にこの谷間を訪れる。バチルド は身分のつりあうアルブレヒトの婚約者でした。領主から休息の場を所望されたジゼル一家は、思いのかけぬ貴族一行を迎えて丁重にもてなす。バチルドは美し く可憐な百姓娘に心引かれ、父親と共に、暫くジゼルの家を借りて休む事になり、狩の一行は近くの休憩の場へと去る。森で領主に会ったばかりに、心ならずも 狩の一行に加わった忠実な従者、ウイルフリードは領主から頼まれた合図の角笛をジゼルの家の戸口に残して、アルブレヒトの事を案じて、探しに出かけてい く。小屋の中で恋敵の秘密を暴く証拠の剣を手に入れたヒラリオンは、復讐に胸躍らせる。やがて、谷間はぶどうの収穫を祝う村の祭りの人々で賑わう。 〈ぶどう収穫人の行進曲〉、ジゼルがバッカスの祭りの女 王に選ばれ、母親からも踊る事を許されて、晴れて収穫を祝う舞いを踊る。〈ジゼルのヴァリエーション〉、〈村の若者のグラン・パ・ド・ドゥ〉、ジゼルの家 で糸紡ぎをして働いているジゼルの友達が踊る〈パ・ド・シス〉に、村人たちが加わっての〈ギャロップ〉に祭りの賑わいは次第に高まっていく。 祭りにひかれ、心を許したアルブレヒトも祭りの女王に 選ばれたジゼルの手をとって踊りの先頭に立った。その時、ヒラリオンが村の衆の面前で、剣を証拠に恋敵の身分を明かす。ジゼルのアルブレヒトへの信頼と希 望は次第に崩れてゆき、バチルドが紛れもない婚約者と知って、ジゼルの血は逆流する。 絶望の果てに狂ったジゼルは生涯にたった一度の恋の記憶をたどりつ つ、市の世界から囁きかけるウイリの呼ぶ声に導かれるように、ついにアルブレヒトの腕の中で、あまりにも強い衝撃に耐えかねた心臓の鼓動は切れ、息絶える。 【第2幕】ジゼルの悲劇的な死から幾日か過ぎたある夜。人里を遠く離れた湿地の森陰の墓地に教会の鐘が夜半を告げる。 ミルタは異教の神々に祈り、呪文を唱えて魔法の枝をかざし、キリストの神の力にすがる二人を十字架の墓から引き離そうとするが、魔法の枝は神の怒りを受けて折れる。 ミルタはジゼルのウイリの魂に呼びかけて、犠牲を誘う 踊りを命ずる。掟にしたがってジゼルは踊り、その踊りに誘われたアルブレヒトは十字架を離れて、ウイリ達の祭典の場に足を踏み入れ、ジゼルに近づく。ジゼ ルとアルブレヒトは、ウイリ達の囲みに閉ざされて、現世を越えた愛の絆に結ばれながら、アルブレヒトの命乞いを一心に願って祈るジゼルと共に踊り続ける。 踊り狂わされて、アルブレヒトが精根尽き果てて倒れ、まさにウイリ達の犠牲になろうとした時、夜明けを告げる四つの教会の鐘が森に遠く響き、夜の闇は朝の きざしの光りに破れる。 ジゼルの愛の苦斗は救われ、ウイリ達は湿った灯心草の 茂りの墓の中に帰っていく。アルブレヒトは墓に引き寄せられるように帰っていくジゼルの幻影をしばしも止めたいと願って抱き寄せるが、生と死の境を隔てた 愛はむなしく、ジゼルの幻影は彼の腕の中から抜けて、最後の別れを惜しみながら消えていく。 朝の光りは森の梢に広がり、そのたぎる光で天空を覆っていく。 アルブレヒトはジゼルの愛情を胸に、永遠の別れの痛みに時が止まったように墓の前に立ち尽くす。 |
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